拉致被害者家族にしろ、酷な現実にいる人を対象として、「世の中は公平です」
「思い通りにならないなら、自分を磨きましょう」とは
人間として私は口にできない。
そのようなことを言われなくとも、当事者は、磨いている。
(時期によっては気が沈むのも人間である)
彼らの感性は研ぎ澄まされ、情勢に対する感覚は、常人の比ではない。
彼らは、政治、外交、軍事、思想にいたるまで学んでいる。
明らかに、個人の努力の範疇を超えた力学が左右している世の中である。
彼らの家族が戻ってこないのは彼らの自分磨きが足りないからではない。
個人の成功を目指すなら、社会に対して批判的言説を語らず、
「自己責任論」で謙虚な姿勢を表明している方が利口であることは言うまでもない。