(2014日)足尾鉱毒事件をめぐるスパイドラマ。
文字を読めない少女が諜報員となったが、
学ぶことで成長する姿を描く作品でもあるようだ。
明治39年(1906)冬に、足尾銅山の環境汚染で畑仕事ができなくなり、
主人公の新田サチ(尾野真千子)は家政婦として東京で働くことになる。
兄の信吉(岡田義徳)が田中正造(柄本明)の元で共に闘ってきた縁で、
社会主義活動家の福田英子(鈴木保奈美)宅での仕事を紹介された。
が、東京行きの汽車の中で兄から紹介された日下部錠太郎(松重豊)に
逐一報告するよう命じられたが、警察官僚だった。
福田宅で田中正造、幸徳秋水、堺利彦、石川三四郎が足尾銅山問題を扱う。
幸徳秋水や堺利彦は足尾銅山の労働者の賃金問題を取り上げ闘争の手段としていた。
が、田中正造にとっては即時銅山を閉鎖することが当然だった。
警察に内情を報告していたサチだったが、彼らが捕まることとなり、
村に戻ることとなる。
面白かったですね。サチは架空の人物としても、
実在の人物を多く扱っていて非常に勉強になりました。
が、ドラマでは時間の問題からも各人の経歴が省略されているので、
全員が社会主義者に見えてしまう。
実際は、無神論系とキリスト教系の社会主義が混在しているようだ。
福田英子が東洋のジャンヌダルクと呼ばれ自由民権運動から社会主義者となった。
福田は内縁だった大井憲太郎との間に子がいたが、それには触れられていない。
大井は正教会で石川は同志社熊本バンドの海老名弾正の本郷教会で受洗したようだ。
が、福田は、内村鑑三の聖書研究会からは断られたようだ。
この時代、内村と田中正造は第一線で鉱毒反対運動に立っていたようで、
田中の僅かな遺品に聖書のマタイ伝があったそうだ。